遠距離介護について
遠距離介護の特徴
遠距離介護には、いざという時にすぐ駆けつけられないこと、
費用がかかることなどのデメリットがありますが、メリットについても考えてみました。
遠距離介護のメリット
親も子どもも住み慣れた場所での暮らしを継続できる
子ども世代にとって、仕事や子育てなどの事情でUターンは難しいケースも多いものです。
親御さんも「住み慣れた家や地域でできるだけ今まで通りの生活を送りたい」と望んでいる場合が少なくありません。
また、生活環境の変化が認知症の発症や悪化につながってしまう可能性があるといわれています。
適度な距離感をもって介護ができる
親と離れて暮らすことで、介護者である子どもは気持ちを切り替えをしやすくなり、
余裕を持って介護に臨むことができます。
遠距離介護のデメリット
親に頻繁に会えず、老化のサインやSOSに気づきにくい
親に頻繁に会えないため、「ガンで手術をしていたことを知らなかった」
「転倒して骨折していたことを知らなかった」という子どももいらっしゃいます。
年に数回の帰省で初めて知ったというのです。
どうして言ってくれなかったのか、水臭いと感じる子どもが多いようですが、
「子どもに心配をかけたくない」という親心から言えないケースもあるのかもしれません。
費用がかかる
まず、親のところへ行くための飛行機や新幹線代などの交通費がかかります。
また、普段家事をしている主婦(夫)が泊まり込みの介護のために数日家を空けると、
その間残った家族は外食をする、お惣菜を買うなどして食費がかかる場合もあります。
仕事と介護の両立に悩んでしまう
仕事をしている場合、親元にすぐに行けないため、仕事を続けることに悩む方が多いようです。
また、病院や施設などから呼び出しがあり、こんなに頻繁に休むと会社に申し訳ないと
肩身の狭い思いをして悩んでしまう方もいます。
遠距離介護で気をつけるポイント
遠距離介護のデメリットをできるだけ回避する方法を考えてみます。
親とのコミュニケーション
親とのコミュニケーションを積極的にとり、老化のサインや介護への不満に気づけるようにしましょう。
一番手軽な方法は、電話によるコミュニケーションでしょう。
電話では相手の様子が見えにくいですが、できるだけ頻繁に電話で話すようになれば、
声のトーンなどで体調の良し悪しや心の状態の変化に気づけるかもしれません。
最近では、テレビ電話やオンラインのビデオ通話などを利用する方も増えています。
お孫さんがいる場合は特に活用したいサービスです。
介護者とのコミュニケーション
・ケアマネジャー介護支援専門員)
ケアマネジャーは、親の心身の状況がわかりづらい遠距離介護においてとても頼りになる存在です。
うまくコミュニケーションをとるために、定期的に連絡して様子を聞くようにしましょう。
また帰省前に連絡し、できるだけ帰省中に訪問してもらえるよう手配すれば、直接会って状況を聞いたり、
今後のことについて話し合ったりできるでしょう。
・老人ホームなどの入居施設
在宅ではなく、入居施設での暮らしを選択した場合、施設選びも重要なポイントになります。
頻繁に会いに行けない遠距離介護では、「施設側が家族への連絡を頻繁にしているか」
「どのような場合に家族に連絡しているか(病気のときだけ連絡しているのか)」などを、
施設選びの段階からチェックしておきましょう。
地域の方とのコミュニケーション
ご実家の近所の方とのコミュニケーションがとれると、いざという時にとても助かります。
たとえば、親に何度電話をかけても出ないと心配になりますが、すぐに駆けつけることができません。
そんなときは、近所の方に電話をかけて様子をみてもらうことも可能です。
帰省のたびに隣近所にあいさつに行き、何かあったときは連絡をもらえるようお願いしているという方もいます。
利用したい保険制度やサービス
①介護保険サービス
介護保険で介護が必要と認定されれば、介護保険のサービスが受けられます。
親が住んでいる自治体や地域包括支援センターに行けば、手続きの方法を教えてくれます。
②自治体が独自に提供するサービス
各自治体には、緊急通報や見守り、配食サービス、ゴミ出しサービスなどがあります。
サービス内容は地域により異なるため、親が住む自治体や地域包括支援センターで配布している
パンフレットなどを確認してみましょう。
③地域のボランティア団体などが提供するサービス
家事代行や見守りサービスを行っているボランティアや有償ボランティアもあるので、
探してみましょう。親が住む地域にはどのようなNPOやボランティア団体があるのか分からないときは、
地域包括支援センターや社会福祉協議会に問い合わせてみるのもよいでしょう。
④交通費の割引サービス
全社ではありませんが、介護に関わる親族などの、
一定の条件を満たせば航空運賃を割引する制度を導入している航空会社もあります。
遠距離介護のポイントは、ご自身の生活や人生設計も大切にしながら、利用できる社会資源を上手に活用することです。
「自分だけで抱え込まない介護」が親子ともに幸せな遠距離介護のキーワードになるでしょう。